*2008* お店を作りました
工務店さんとの出会い

自分のお店を作ろうと考えたのは2006年の夏でした。

今までの両親の店の横にあった温室は新しい苗と売れ残りの苗がごちゃ混ぜに並べられ、作業もするけど、お客様も見に来るし、という中途半端な存在だったので、ここを取り壊して新しく小さなお店を建てようと考えました。

初めは何をどうするのかも分からなかったので、設計事務所の方に相談してみました。
小さな掘立小屋のようなものを簡単に建ててもらおうと素人考えでいたので、出てきた見積金額にびっくり仰天。家が一軒建ちそうな金額で、大きくても小さくてもあまり関係が無いことが分かりました。
ほんの小さな小屋がものすごい大がかりな工事の話になってしまい、2007年の春には今はまだこれだけの覚悟はできていないと、一旦はあきらめることになりました。

気持ちもすっかり冷めたその年の夏、工務店さんから「そろそろお店作るの具体的に始めますか?」と電話がかかってきたのです。実はこの工務店さん、最初の見積が出た時に1件だけでは比較ができないからと、急遽友人の知り合いの工務店さんを紹介してもらい、見積だけ出してもらった所だったのですが、当初の計画を断念したので、こちらにも「金額の部分で、一度止めることにします。また、一段落したら考えるかもしれません」と言っていたのですが、律儀に電話をくれたのです。

とはいえ、金銭的に1,2年は考えられないねという気分でいたので、最初は無理難題ばかり言っていました(笑)
これとこれとこうして、ここは絶対こうじゃなきゃ嫌だけど予算はこれくらいだけど出来る?みたいな。
ところが、この工務店の専務さん、とても良い人で一生懸命私の言うことを聞いてくれ、考えてはすぐにプランを持ってきてくれるのです。
そのうち私も「やっぱりお店を作りたい!!」という気持ちがふくらんできました。
どうしても、こだわりたい部分を実現し、予算内でまとめるために、お店は新築せずに今ある建物をいかして改装するということになりました。でも、初めはそんなことでガラッとお店の雰囲気が変わるのか心配でした。

法律の関係で木造で小屋風に建てることも出来なかったし、北海道の冬には隙間風が大変ということで木枠の窓も却下されたし、予算の関係で一部の窓は既存の窓を再利用し、外壁はこだわらないと、どんどん希望のものから外れていくようで、ちょっぴり悲しかったのですが、そこは専務さんもプロでした(笑)私が悲しくなって「やっぱり止めます」と言わないようにがんばってくれました。

どうしてもゆずれなかったものは全部叶えてもらいました。

@壁は板張りで白いペンキを塗る
A板張りの床
Bホウロウの流し
C天井がガラス張りのサンルームみたいな育苗室
D木のカウンター
E壁一面の棚(下に収納付き)
F小さな倉庫
G北側の窓に棚
Hレジカウンターの奥に飾り棚
I天井は抜いてなるべく高く
J外にパーゴラ付きのテラス
K上げ下げ窓 

そして、この希望を叶えつつ、どうやったら予算内に抑えるかを色々な材料見本やカタログを持って何度も見積を出してくれ、ようやく「これだ!」という内容と金額にまとまり、「よし!」と工事がスタートしたのは2007年10月15日でした。

 
ホウロウのシンク

スペインに住んでいた時借りていたアパートには大家さんがアメリカから持ってきた冷蔵庫やガスコンロがあって、キッチンの流しはホウロウで私のお気に入りでした。

食器洗いには少々気を使いますが、汚れてきたらシンクに水をため、漂白すると新品みたいにピカピカになってメンテナンスも楽ちんでした。

だから、お店を作る時、絶対にホウロウのシンク!と思っていました。
お店に流しがあったら汚れた植木鉢や道具もすぐ洗えるし、お掃除や水やりも簡単にできるかなって思いました。

輸入物はとっても高かったのですが、TOTOの病院用シンクを見つけて、こちらは3万円でお手頃価格。
工務店の専務さんには「僕だったら流しなんかにお金かけるなら、別の所に使うけどな」と言われながらも「立派なのでなくていいから、このシンクに合わせて、ちょこちょこっと作って」とお願いして作ってもらいました。

 
窓の棚
外国の雑誌を見て、お店の窓には絶対こんな木の棚をつけたいと思っていました。ここにはきれいなガラスの花びんや小物を置いたらかわいいだろうなっと思っていました。小ぶりのガラスの花びんにはついつい惹かれてしまいます。お庭の花をなんでも摘んできては小さな花びんに挿して楽しんでいます。

上げ下げ窓
予算の関係で窓はこだわれない事になってしまいました。でも、絶対に普通の引違窓にはしたくなかったのです。ですから新しい窓はすべて開かないFIX窓にして、しかも嫌だったけれど既存の引違窓も使用することにして、そのかわり1つだけ格子の入った上げ下げ窓をつけてもらいました

 
育苗室

毎年自宅の出窓でハーブの苗を300ポットくらい作っていました。
机や家具を窓辺に総動員して、ポットを並べ太陽光に合わせてクルクル移動させながら栽培していました。
部屋中ものすごい湿度で、温室で寝ているようでしたし(笑)
どうしても窓からの光だけになるので、徒長ぎみの曲がった苗になるのが本当に残念でした。

天井も,ガラスの太陽光がたくさん入る育苗室で、こだわりのハーブ苗をたくさん作るのは私の夢でした。
作業台の高さなども指定して、ここだけ大奮発してヒーターを入れたので、まだ寒いうちから苗作りを始められます。
ここの窓は押し開く形の窓にして網戸をつけてもらったのですが、完成し夏になって、この窓ではまったく風が抜けないことが判明しました(笑)

 
白い板張りの壁とこげ茶の床

最初から縦板張りの木の壁に白いペンキを塗るということは決めていました。これが私の小屋みたいなイメージだったからです。

当初はもっと簡単な素人の日曜大工のようなものを考えていたので、ベニヤみたいのでいいよと思っていましたが、さすがはプロの大工さんが作るとなるとペンキを塗るのももったいないほどきれいな壁になりました。

釘が見えると汚いからと、すべてボンドで張り付けて、天井の複雑な傾斜まで完璧に。プロに作ってもらうという事はこういうことかと、その時初めて理解したのです。

そして、ペンキ屋さんの仕事もほれぼれしました。1回目の塗りの時に「わぁーきれいですね」というと「まだまだです」2回目で「さすが、違いますね」というと「いえいえ見て下さい、2回と3回ではこんなに違うんです」と3回塗ってくれました。

ただ、床は古い倉庫の感じを出すために、ムラをいかした1回塗りにしたそうです。私のイメージを理解してお仕事してくれてることに感激しました。

 
パーゴラ付きのテラス

ここは本当に希望どおりのかわいらしさです。窓の外に鉢置台もつけてもらいました。ちょっと植木鉢を並べるのにとても重宝しています。
なにかかわいい鉢物が入ると、まずはここに置いてみます。

木のパーゴラは釘を無造作に打ってポンと引っ掛けることが出来るのが良いです。ここは朝日くらいしか入らないのですが、小物やかわいい鉢や入れ物と合わせてお花を飾ると、本当にステキなコーナーになります。

お庭とお店ののはざまで、外のようなお家のような空間を楽しんでいます。
戻る